「先生、今日はなんの日ですか?」
そうスタッフから聞かれた。
バレンタインデーである。
もともとはキリスト教のお祭りだが、
日本ではチョコレートメーカーが、
女性からチョコレートをプレゼントするという
習慣の走りになったのだそうだ。
三宅が小学生の頃には
大変盛り上がったが、
三宅が歯医者になった頃には
『義理チョコ』が登場していた。
この義理のおかげで
三宅は生まれて初めて親類以外に
チョコレートをもらって喜んだのだ。
ところが昨今の論調を見るに、
この義理は「時代錯誤」と断ずる者もいて
なんだか寂しい気持ちである。
義理かどうか別として、
スタッフが差し出してきたのは
ハチミツであった。
しかも『巣みつ』。
すなわち蜂の巣本体セットである。
これは嬉しい。
家族からプーさんの異名を持つ
三宅としては何よりのものである。
もともと『義理』に対して
『本命』という言葉もあった。
その言葉は全く忘れ去られている。