院長の「なんていうか」日誌

みやけゆう歯科医院のオフィシャルページ

負けるのは美しく


なぜか思い立って、
昨年急逝した知的俳優
児玉清]さんのエッセイを読んだ。
三宅は彼のファンである。
エッセイを読むと彼の声で聞こえるのが
自分でも不思議である。


児玉さんが俳優になるまでの話が
ユニークである。
特に俳優業を目指してはおらず、
偶然に東宝に入ってしまった件が
痛快である。


若き俳優として
沢山の名優とのエピソードや、
映画界で苦労する様子が語られており、
日頃垣間見ることのない
華やかな世界の裏側を
平易な言葉で楽しく読むことが出来る。


温厚そうに見える児玉さんが
実は短気で反骨精神の高い一面が
少々意外であった。


しかし最終章は
若くしてガンで亡くされた
娘さんの経緯が克明に
児玉さんの言葉で語られており、
その慟哭にも似た文章に
しばしば本を伏せざるを得なかった・・・。


三宅も同じく娘を持つ身として、
とても人事とは思えず、
健康な子どもと生活出来ること
そのものが幸せなのだと
深く思うに至る。


児玉さんの親としての想いが
赤裸々に語られており、
彼の愛情の深さと、
思い通りにならない人生に対する
彼の哲学が伺えて、
勇気をもらった本となった。



題名こそが彼の美学を表したものだ。