初めて来たその高校生は
目が真っ赤であった。
「もうすぐセンター試験なんです」
押して計るに昼夜問わず
勉強しているのであろう。
診療台に乗っていても歴史の教科書を読み込んでいる。
「歯が痛い時があって・・・」
彼の口の中を診査しても特別むし歯は
認められなかった。
寝不足で歯ぎしりしているのではないかと告げると、
確かに心当たりがある様だった。
相談の上、特に処置はせず口の中の歯石を取って
様子を見てもらうようにした。
自分の子どもでもないのに、
その好青年にわずか３０分で感情移入してしまった。
歯が痛くならないよう三宅も神様に祈ろう。
歯医者なのに。
がんばれセンター試験。
