院長の「なんていうか」日誌

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スーツ鑑賞会


映画を観るとき、
三宅はどちらかといえば前方の席が好きである。
視界いっぱいに画面がある方が
映画に没頭出来るからである。


ラ・ラ・ランド』を観たときは
さすがに最前列ではなかろうと、
控えめに通路を前にした中段中央に陣取った。


上映ギリギリに席に向かうと、
右隣も左隣もスーツの男性が座っていて内心、
『しまった!』と思った。
三宅もスーツ姿だったのである。


かくしてスーツ三人集が
恋愛ミュージカルを並んで鑑賞することになった。


前日のブログでも触れたが、
映画はロマンティックでエネルギッシュなもの。
いつしかヒロインのミアに感情移入してゆく。
甘い時間の後にミアとセバスチャンのすれ違いで
口論になるシーンがあまりにも
男と女のリアルで息をのんだ。


2人がどうなってしまうのか
ハラハラしながら観ていると、
映画冒頭の伏線が見事に生きるシーンがあって
思わず三宅はウッと来て涙がにじんだ瞬間、
右隣のスーツマンはおもむろに両手で
目をこすり始めた。
ボロボロと泣いているのである。


自分より強者がいたと思った瞬間、
左のスーツマンは頻繁に鼻をすする様になった。
やはり泣いている。


こともあろうにスーツを着た男3人が
自分の想いを胸に映画館で並んで
泣いているのだった。
泣きながら三宅は可笑しくて吹き出した。


ラストの展開は三宅には思いがけないもので涙目に。
右スーツは最後まで手で頬の涙をぬぐい、
左スーツはずっと鼻をすすっている。
左右のご両人ともに1つの人生を共有した
同士になった感じであった。



今にしてみれば映画の後に
左右のスーツと少し映画について
話してみれば良かったかと思う
中央スーツである。