安彦良和氏頑張ってインタビュー形式で
ご自身の半生を書籍に残したのだ。
氏はアニメ「機動戦士ガンダム」でも
よく知られたアニメーターである。
もっとも現在では漫画家として
精力的に活動されている。
この本はインタビュー形式を用いて
氏が上京して手塚治虫の作った『虫プロ』に入社する件から、
数々のアニメーションを手掛けて、
漫画家として夢を追う姿が綴られている。
様々な巨匠と仕事をしながら結果を出し続け、
劇場版『機動戦士ガンダムⅢめぐりあい宇宙』は
ハイレベルな作画で映画の大ヒットを支えた。
しかし、
その後自ら監督したアニメ『巨神ゴーグ』が商業的に失敗し、
宮崎駿の映画『風の谷のナウシカ』が公開されると
あまりのインパクトの強さにショックを受け、
アニメーターとしての自信がゆらぐ様が、
この本には克明に記載されているのだった。
三宅から見たら、
宮崎駿とはタイプの違う
天才アニメーターにしか見えないのだが、
その苦悩と葛藤が隠すことなく語られていて
読み応えある１冊になっている。
近年に製作されたアニメ
『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』は
ハイレベルな作品であったが、
結局本編の製作は行われない決定がなされ、
安彦氏を失望させたのだそうだ。
それでも、
創作意欲が衰えることなく、
長編漫画を制作している氏は
間違いなく一流の作家で
リスペクトせずにはいられない。
それにしても、
三宅が育った時代は
ことアニメ作品に関して
恵まれていたのだと
この本を読んで痛感する。
