小さい頃から何事にも怖がりだった三宅は
よく『おまもり』を作っていた。
なんのことはない。
ザラ半紙に鉛筆で『おまもり』と書き、
袋状にしてセロテープでぐるぐる巻きにして
持ち物に忍ばせるのである。
父親が出張の時には
また新たな『おまもり』を制作し、
父に持たせたものであった。
年齢と共に三宅のお守りは、
手書きから路傍の石になり、
またはエッジのないガラス片だったり、
網走の海岸で拾った貝殻になった。
そういえば、
最近の三宅のおまもりは何であろう。
携帯か?いや、この間重要な用事で忘れて
家族を驚かせたばかりである。
もしかしたら、
ふだん着用している『ネクタイ』が
それに近い様な気がする。
もしくは三宅の持ち物全てが
おまもりであるというのが、
最も腑に落ちる。