院長の「なんていうか」日誌

みやけゆう歯科医院のオフィシャルページ

カルトンのゆくえ


[おおたに]の手とカルトン


みやけゆう歯科医院の
歯科衛生士[おおたにさゆり]は
クールな大人の女性である。
愛犬リンリンの話をする時は
目に炎を灯して語るが、
概して冷静な人物と言えよう。



その[おおたに]が
先日の受付の担当日に、


「先生〜、お皿がぁ〜。」


と、
足をバタバタさせ
ぴょんぴょん跳びながら
聞いた事のない細い声で
三宅を呼ぶのでビックリした。
何事が起きたというのか。


なんらかの小動物が
待合室に入ってきたのか、
受付で誰かに告白され
歓喜の声を挙げたか、
三宅の想像は膨らんだが
実際は治療費の授受を行う
「お皿:カルトン」の2枚のうち
1枚が「忽然と姿を消した」
というものであった。


カルトンの捜索は
みやけゆう歯科医院の
駐車場を含め
複数の人間で
広範囲に行われたが
発見される事はなかった。



主任歯科衛生士の[ささき]は


「前代未聞」


と普段使わないような
言葉を放ったが、
確かに前代未聞である。




実は三宅は[カルトン・マニア]である。
東京や札幌へ出張にでると
文具屋や雑貨屋を覗いては、
カルトンないですか。」と
聞いて歩く。
既に5種類のカルトン
出番を待っている状態である。
それゆえに、
カルトンが消失して
ショックもあるのだが
すぐに次の候補を登場させ
ニヤニヤしていた。



[おおたに]は自分のせいだと
動揺したのか、かなり興奮して
他のスタッフ全員に
事のあらましを鼻息荒く
解説していたので、
全員いつもより帰宅が
少し遅くなった程である。



この事件はすぐに解決した。
カルトンが消えた日に来た
子供が家まで持って帰って
気付かなかった親が
電話で詫びてきたのである。



「先生、ありました〜。」


[おおたに]は頭に♪マークを付けて
三宅に報告しに来た。



三宅としては、
新しいカルトンを買う
口実に乏しくなったことが
少しだけ悔やまれるのであった。