院長の「なんていうか」日誌

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仰げば尊し


三宅は中学生活3年間を
学校の放送局に注力していた。


お昼の校内放送と
チャイコフスキーの[家路]を
下校時間に流すだけで
たいした仕事はしなかったのだが、
先輩方に恵まれた
楽しい部活であった。


担当の黒田先生は温厚な方で、
担任でもなければ
科目でも習ったことはないのだが、
3年時に三宅が局長になった際に
ずいぶんと相談に乗ってもらったものである。


3年の終わりに
三宅と仲の良い後輩2人が
取っ組み合いのケンカになり、
放送局のガラスを割ってしまった。
平和な中学校で大事件が起きたのだ。


その2人をどうしたかは
三宅は覚えていないのだが、
仲直りをしたと記憶している。


ともかく局長たる三宅が
黒田先生のところへ詫びに行った。
温厚な先生だからと
タカをくくっていたが、
開口一発、


「しっかり後輩を見ておかんからだろ!」


と、叱られ続けて説教しきりである。
冷や汗タラタラで
立ちながら気を失っていた。



「・・・しかし2人が仲直りしたのも
 三宅の人望だな」


後にも先にも
三宅が『人望』と言われたのは
この時だけである。
今にしてみれば黒田先生が
根拠無き[助け船]を出してくれたのやも知れぬが、
このときの言葉を
三宅は今も心の糧にしているのだった。