小さい頃には父親がたびたび喫茶店に行ったので、
三宅もたびたび一緒に行っていた。
父が飲むホットコーヒーについてくる、
『ミルクピッチャー』のミルクをいれるのは三宅の役目であった。
そして自分はこのミルクピッチャーが欲しかったのである。
何をしたということはない。
小さな水差しの様にシャレて技巧がみえるそのかたち。
脇役ながら「ピッチャー」などと
主役を食いかねない名前。
なんてかっこいいんだろう。
しかし幼少の三宅がそれを手に入れることは
出来なかった。
どこに売っているかも知らなかったのである。
そして時が流れ、
三宅は大人になった。
昭和と違いネットで買い物できる時代である。
なんとミルクピッチャーを
ネットで注文できるのである。
しかも10個セット!
家族に買って良いか相談したら
一息おいてこう言った。
「10個買ってなにするの?」
みやけゆうカフェ?