以前テレビで紹介されていた映画を観た。
『テーラー 人生の仕立て屋(原題:Tailor)』がそれだ。
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アテネでずっと父親の店を手伝ってきたニコス。
しかし不況もあって店は差し押さえ寸前。
客も来ずに延々と父親の店で待つ時間が続く。
頑なな父親は仕事のやり方を変えようとしない上に、
突然倒れて入院してしまう。
ニコスは通りをゆく移動式屋台を見て、
廃材を使って『移動式テーラー』を思いつくのだった。
しかしスーツは全くう売れずに店舗の差し押さえが近づく。
オマケにひょんなことからウェディングドレスを依頼され
困惑するニコスだったが・・・。
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全編を通して主人公のニコルも登場人物も
あまり喋らない。まるで無声映画の様だが、
出演者の表情や仕草、演出で全てを表している。
なかなかの力作だ。
一つ一つ説明が欲しい人だと、
登場人物が何をやっているか
ちょっと理解しにくいかも知れぬ。
主人公の手捌きや服を作る作業風景など
相当に凝っているので観ていて飽きない。
よくよく映像を見ていると
さりげなく伏線がはってあるので
よく練られた映画だと感心する。
主人公を中心に幾つかの対比が
見られるのだが、
個人的には父親との関係が
観ていて胸を打った。
ラストシーンがハッピーエンドなのかどうか、
観る人によって違うかも知れないが、
三宅はすごくハッピーエンドなのだと思えて
心に残る映画になった。