みやけゆう歯科医院には
治療の際に幼い子供を
連れていらっしゃる方が多い。
中には「連れて来てもいいでしょうか」と
丁寧に訊いてくださる患者様も
いらっしゃる。
もちろん問題はない。
どんどん連れてきて頂きたいというのが
みやけゆう歯科医院のスタンスである。
「つきそい」であっても
歯科医院の雰囲気か
三宅の顔が怖いのか
泣き出す子もいるのだが、
好奇心満々の子どもも多い。
Ｆさんのお子さんは
２歳前であった。
大きな瞳でじっと見つめる
利発な女の子であったし、
三宅の差し出したおもちゃそっちのけで
片っ端から診療台や
歯科の器具を触りたがるのだった。
Ｆさんの歯を削り始めた時には
子どもはＦさんのおなかの上に載せてあった。
三宅はＦさんの口をのぞき込みながら
無心に治療していたが、
誰かが三宅の髪の毛を触る。
「？」
Ｆさんの子どもが
三宅の髪の毛を触っているのであった。
『カワイイ』と思ったのもつかの間、
おもむろに三宅の髪の毛を
おもいっきり引っ張り出した。
「イデデデデ・・・」
ああ、ズラじゃなくて良かった。
