札幌に着いてすぐに三宅は目的の店に向かった。
『布』を扱うそのお店で[のれん]を作りたいのである。
みやけゆう歯科医院は院内の各所に
[のれん]を配しているのだが、
かれこれ10年ほど同じものを使用しているので
そろそろ新調したいと思ったのである。
開業時にそのお店で作ったのであった。
ネットで調べ店を訪ねると
以前とは全く別の場所にあった。
自分の歯科医院で[のれん]を使いたいと言うと
小柄な女店主はこう云った。
「確か子どもの歯医者さんで、みやけさん?」
なんと10年も前に作ったのを
憶えてくれていたのである。
凄い人だ。
[のれん]を新調したい事を伝えると
彼女は何十種もの生地を三宅に見せてくれた。
一つ一つの生地を大切にされており、
三宅への説明は熱が入り盛り上がった。
彼女はプロだ!
2時間のあいだ
たくさんの布を選考した結果、
シンプルかつクールな布が
みやけゆう歯科医院の[のれん]に決まった。
こういうものはネットでは頼めない。
風合いは自分の目で見なければ分からないのだ。
新しい[のれん]は年内登場である。