院長の「なんていうか」日誌

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親の役目


Aくんはみやけゆう歯科医院の
常連である。
遠くの街から受診にやって来る。


小さな頃は治療に際して
大暴れであったが、
小学生になって慣れたとは言え、
今だに治療は苦手で
泣いてしまう事が多い。


この間はおばあちゃんに連れられて
治療に来ていた。
普段親と一緒に来る子どもが
祖父母と歯医者に来る場合は
子どもの雰囲気が違う事が多い。
同じくAくんも緊張のまなざしで
三宅にこう質問した。


「今日、泣く?」


それはこちらの質問だよ。と
心の中でつぶやいたが、
『泣くような事をするのか?』が
彼の言いたい事であろうと
答えをはぐらかした。



麻酔をして削りはじめると
おばあちゃんの心配をよそに
彼は泣き出さなかった。


ところが用事を済ませた母親が
診察室に入って来ると
Aくんは声高らかに
泣き声をあげたのであった。



小児歯科医の目指すところは
『子どもを泣かせない』である。
しかし、
もしかすると『泣かせてあげる』のが
親の役目だったり
するのだろうかと、
Aくんの泣き声を聞きながら
自問していた。




さて、親は誰に泣かせてもらえば良いのだろう。