「大きくなったらね、歯医者になる」
Kちゃんはみやけゆう歯科医院の
常連さんである。
ほんのちょっと前まで
三宅の顔を見れば号泣していた。
あまりの「叫びぶり」に
住宅にいた家人にまで泣き声が聞こえて
いた彼女だったが、
時が流れて三宅にこう語りかけた。
「大きくなったらね、歯医者になる」
この場合、
三宅を目指しているかどうかは
怖くて聴けないが、
号泣しながら診療していても
歯科を嫌いにならないという証左になろう。
「じゃあ歯医者になったら
先生を手伝いに来てね」
三宅がそう言うと
Kちゃんは満面の笑みで返事をした。
「うん」
まずはアルバイトからね。