「あっ、来た」
健診にやってきた常連の子どもたちが
三宅を見てそう言う。
あるいは「バン、バン!」と指鉄砲で撃たれ、
姉妹が「それっ」と三宅に魔法をかけるのには
さすがに参った。
子どもたちのこういったアクションは、
友情の証だと思うので、
極力リアクションを入れて返す。
思えば歯医者になってすぐに
こういった掛け合いを子どもたちと
やってきたと思う。
リアクションも大変。
己の演技力を試される。
いや、三宅は歯医者であって役者では無い。
迫真のリアクションをすれば、
子どもに受ける場合と、
親だけ受ける場合とに大別される。
母親が「先生、おかしい」と
言ってくださるのはいいが、
親子で無反応という場合も少なくない。
三宅が小さい頃になりたかった職業は
役者である。
ドリームカムトゥルー?