小さい時分から手先が器用と言われてきた。
1人きりで何時間もブロックを作り続けて、
親に唖然とされたこともあって、
出来た作品を見て感心されたりもした。
中高生の時に模型店が主催する
プラモデルの作品展で何度か受賞したり、
街の本屋でイラスト大会の大賞を取ったこともある。
そうして歯科大学に入り、
いざ手先を使って課題をしますとなったとき、
三宅はありふれた凡人だった。
上手くも下手でもない程度だったのである。
上には上がいると真に知ったのは
大学に入ってからだ。
初めて掘った前歯の彫刻を
担当の先生がダメ出しするのに
秒もかからなかったのだ。
瞬殺というやつである。
これが歯医者を生業とする上で
長い試練の始まりであった。
いま大学の同じ課題をするなら、
1発で合格する自信はある。
タイムマシンの開発はまだか。