「竜とそばかすの姫」は2021年に公開され、
日本アカデミー賞を獲った映画だ。
「時をかける少女」「サマーウォーズ」等々で
アニメ映画を3年ごとに発表する細田守監督の作品である。
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高知県に住む主人公「内藤 鈴(すず)」は
幼少の頃に事故で母親を亡くして以来、
すっかり引っ込み思案になってしまった。
母親に歌を歌う楽しさを教えてもらったのに
ほとんど歌えなくなってしまっている。
鈴は容姿端麗でもなく『ぱっとしない』女子高生。
父親との距離も掴めず
高校でも悩み事ばかり・・・。
そんなとき、
親友の勧めで50億のアカウントを誇る
仮想空間『U』に誘われ迷いながらも
アバター(As)を作り仮想空間に入っていく。
絢爛豪華で自由な仮想世界に驚きながら、
鈴は思わず歌を口ずさんでしまうのだった・・・。
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「美女と野獣」をモチーフにしたと思われるこの作品は、
仮想空間の煌びやかな世界観と、
丹念に描かれた高知の景色が
とても対照的でどちらも心地よい。
特筆すべきは今やスタンダードな
『CG』で主人公たちはイキイキと
『演技』をするのである。
このクォリイティはすごい。
今の日本のCGでは
ここまで表現できないと思っていたが、
すばらしい出来だ。
音楽・音響も素晴らしく、
仮想空間の世界観を見事に表している。
キャラクターたちが後半に
唸るように声を上げるのが
普段日本の作品では見ることのできない
凄みがあって、
観ている三宅も慟哭した。
白眉な作品だ。
仮想空間をテーマにした
「サマーウォーズ」にも似ているが、
その設定や仮想空間に流れる人々の誹謗中傷を
劇中で表現していいるのも
新しい挑戦だと思う。
1回観ただけでは
わからない部分がけっこうあった。
意図的に伏せているのか、
必要ないのか・・・。
また観ることにしよう。